肥料不足の中での家庭菜園

肥料不足の中での家庭菜園 家庭菜園

「肥料不足」「肥料の価格高騰」、2021年の終わり頃から今まで聞いたことのなような言葉を聞くような時代になってしまいました。これは日本も含め世界中の問題であり、「食」にかかわる、すなわち「人の命」にかかわる重要な問題です。

なぜなら肥料が無ければ野菜も米も作れないからです。「食糧危機」という言葉が現実的になり始めた、まさに「備え」が必要な状況なのです。

肥料を買わずに出来る家庭菜園

肥料不足の原因などは、ここで伝えたい内容と異なってきてしまうので、ここで論じるのは避けますが、ここではホームセンターなどで肥料を買わなくても、もしくは少量購入するだけで出来る家庭菜園についてアイディアを簡単に紹介したいと思います。

大規模な商業用の野菜作りではなく、家庭菜園という小規模な畑なら化成肥料はもちろん牛糞や鶏糞さえも買う必要が無くなってきます。※大規模にビジネスとして肥料無しで栽培している農家も存在します。

草生栽培とは?

草生栽培と呼ばれる栽培方法があります。ほんの数年前まで家庭菜園の関連本には必ず雑草を抜いて、野菜の栄養分を雑草に取られないようにする方法が一般的であり、絶対な野菜づくりの方法でした。これは専門的な言葉で清耕栽培といいます。

簡単に言えば、育てたい作物以外の雑草はすべて抜き取ってしまう方法です。

しかし、この何年間で「草生栽培」という言葉を使うかどうかは別にして、家庭菜園関連の本に「雑草と一緒に野菜を育てる」という提案がチラホラ掲載されるようになりました。

草生栽培の基本は、雑草はほぼ抜かずに短く刈り込んで、刈り込んだ雑草を野菜の株元を中心に土の上を覆っていくだけです。この雑草が折り重なっていく中で株元の乾燥を防ぎ、朽ちていって肥料分となり、畑に良い菌を育て、微生物やミミズなどを育て、フカフカの土を作り、結果的に野菜を育むという仕組みです。

この方法でしっかりと土作りが出来ると、肥料を少量あげるだけで十分であったり、野菜の種類によっては肥料を施す必要のない、無肥料栽培をすることが出来るのです。

世の中が肥料不足で騒いでいたとしてもこの方法なら、少しの肥料で野菜を育てることが出来、さらに肥料が少ないということは同時に害虫も減り、肥料による土壌生物のバランスが崩れることによって起こる野菜の病気も減っていきます。

非常時には心身ともに健康が損なわれるものですが、そんな状況の中、健康で美味しい野菜を育て、食べることは、私たちの心も体も癒やしへと導いてくれるのではないでしょうか。

難易度:★★☆☆☆ すぐにでも始められる

草生栽培についてオススメ書籍(楽天ページが開きます)


西村和雄 ぐうたら農法 [ 西村和雄 ]


自然農法とは?

自然農法とは上記の草生栽培も含む農法で、草生栽培より少しレベルアップしたものです。自然農法は、無肥料・無農薬、そして畑を耕さない不耕起が基本になります。

草生栽培と同じように雑草で土を覆い、さらに緑肥、コンパニオンプランツを活用し、土作りにも重きをおきます。そして種を繰り返し自家採種していくことによって、その風土、その畑に最も合った野菜をも作っていくのです。

大きな農業機械を使うこともないですし、畑を毎年耕すことのもないので、高齢になっても続けることが出来る理想的な農法です。ただし、土作りには時間がかかり、簡単に始められるものではないのですが、土作りが出来れば、肥料など毎年新たに購入するものがほとんどないので、肥料不足による問題などとは無縁の、まさに「備え」に最適な農法であり、本来の野菜づくりと言えるのかもしれません。

難易度:★★★☆☆ 小規模のスペースから始めて、土作りをして少しずつ広げていく

自然農法についてオススメ書籍(楽天ページが開きます)


自然菜園で野菜づくり 育ちや味がどんどんよくなる [ 竹内孝功 ]

垂直仕立て栽培とは?

垂直仕立て栽培とは、支柱を立て、その支柱にすべての枝や茎を縛り上げるという信じられないような農法です。一体なんのために縛り上げてしまうのか、それによってどんな効果があるのか、まったく想像しにくい栽培方法ですが、実はかなり科学に基づいた農法でもあるのです。

この農法を編み出したのは道法 正徳さんという日本人です。垂直仕立て栽培は自然農法と同じように無肥料・無農薬で基本的に畑を耕しません。

その垂直に縛っていく新しい発送の目的ですが、垂直に仕立てることで、野菜の体内の植物ホルモンの量と働きを最大限いかすことができるという考えです。様々な植物ホルモンが活性化することで生育が促進され、病虫害への抵抗力が強くなって、収量もアップします。

肥料はいらないというか、むしろ成長に邪魔な存在です。

そしてさらに土の中にゴロゴロと石を入れます。通常の畑の石は取り除くのが常識ですが、この方法では積極的に石を投入して、野菜の根っこに刺激を与え、ここでも植物ホルモンを促進させます。

この植物ホルモンさえ促進することができ、野菜の体中に行き渡らせることが出来れば、肥料は一切必要ないのです。世界の食糧危機を救うかもしれない衝撃の栽培方法です。

この方法も肥料不足とは無縁の「備え」としての家庭菜園に適した農法です。

難易度:★★★★☆ 縛り方に慣れと土中の小石が大量に必要

垂直仕立て栽培についてオススメ書籍(楽天ページが開きます)


道法スタイル 野菜の垂直仕立て栽培 [ 道法正徳 ]

永田農法とは?

永田農法は必要最低限の液肥と水だけで栽培する農法です。永田照喜治さんという方が確立した農法で、肥料過多になりがちな家庭菜園とは真逆でスパルタ農法という異名を持つほど、少ない肥料で栽培するので、肥料が少ししか手に入らないという状況の中でも家庭菜園が可能です。

スパルタ農法は少ない肥料のことだけでなく、野菜を栽培する土もやせた土を使います。なぜなら多くの野菜のルーツをさかのぼっていくと、高地で石がゴロゴロしてるようなやせ地で、ただ水はけは比較的良いという場所だったことがわかっているので、そのルーツの場所に似せた土で作るので、そういう意味でもスパルタ農法なのです。

しかし、このように厳しく野菜にストレスをかけて栽培する方法が永田農法以外にもいろいろと注目されています。

例えばトウモロコシに50度くらいの熱湯をかけることによって、トウモロコシを強くする方法があったり、根っこを半分くらいに切ったり、塩水をあげてみたり、枯らし気味で栽培したり・・・。

野菜という人間によって改良されてきた植物は、時には温室育ちになりがちですが、スパルタ農法で枯れてしまうかもしれないというストレスがかかる中で生命力を爆発させて、逆に強く育ち、非常に美味しい実をつけるというとても興味深い一面があるようです。

永田農法はしっかりと本を読んだりして、よく学ばないと出来ない農法ですが、有名なコピーライターの糸井重里さんがこの方法で野菜を作っていたり、漫画の美味しんぼで取り上げられたり、とても魅力的で経済的な農法です。

難易度:★★★☆☆ 専用の液肥を購入し、よく学べばすぐにでも始められます!

コメント

タイトルとURLをコピーしました