水の確保(備蓄)

非常時に水を確保する 水の備蓄

水はどれくらい、どうやって備蓄すればよいのだろう?

このような悩みをお持ちではありませんか?

人間は食べ物がなくても、水があれば、1か月近く生き延びるこができると言われています。ところが、水がなければ、2~3日で命の危険にさらされてしまいます。

また、せっかくお米や乾燥野菜など、食料を備蓄していても、水がなければ調理することができません。

備えにおいて、水の確保は欠かせないものです。この記事では、水の大切さや水を備蓄・確保する方法についてお伝えします。

水は実際に1日あたり、どれくらい必要?

水が足らない

防災情報には、よく1人当たり1日最低2.5~3リットルの水が必要といった数字を見かけます。これは一体どういう数字かご存じですか?

1人当たり1日最低2.5~3リットルの水とは、飲み水や食べ物から取り入れる、生命維持に必要な水分の量を指します。これを、2リットルのボトルに換算すると、1人当たり、1か月間生命維持するためだけに75~90本の水が必要ということになります。4人家族なら300~360本です。

ところが、以下のように、私たちは毎日たくさんの場面で水を使っています。

  • 飲み水(1日2リットル)
  • 調理(食材や食器を洗う)
  • 調理(乾燥食品を水で戻す、煮炊きなど)
  • 入浴、歯みがき、手洗い、うがい等
  • 洗濯
  • 掃除
  • トイレ(水洗トイレ—従来品は1回で約13リットル。最新タイプで大4~5リットル、小3~4リットル)
  • 怪我をしたときの衛生用水
  • 野菜や植物を育てるための水

これらの生活場面で水が使えなくなれば、想像するだけでも不便ですよね。数日の断水なら、飲料水だけでもしのげるかもしれませんが、数日以上になると、生活用水が必要になります。

では、どのように水を確保すればよいのでしょうか?

水を確保する手段

水を確保できる場所に住む

水の確保には、様々な方法があります。家に備蓄しておくだけでなく、井戸を掘っておく、雨水を貯蓄する、水源が身近にあれば水を汲んできて浄化するなどです。

しかし、都会やアパートなど、水を備蓄するスペースが限られていたり、水源が近くにない場所に住んでいれば、長期間の断水に見舞われると、水の確保が極めて困難になる可能性が高くなります。また、断水が長期間続くのは、大災害や、有事などの状況下であることが想定されます。食品や生活用品の流通が止まり、都市機能がマヒすると、略奪やその他の不法行為が広がるなど、治安が悪化することが懸念されます。そのため、そもそも今住んでいる場所で水を確保し、生活を続けること自体可能なのかどうか、検討する必要があるかもしれません。

ペットボトル飲料水の備蓄

ペットボトルに入った飲料水は、いざという時に持ち運びやすく、短期的な緊急時にはとても便利です。緊急時の持出し袋にも入れておきたいものです。また、家中の小さな空きスペースに入れて貯蔵することも可能です。ケースごと買うと、ベッドの下やクローゼットの奥などにもスマートに備蓄できます。

ペットボトルに入った水には賞味期限が設けられていますが、実際には賞味期限に関係なく飲むことができます。ただ、容器や保存場所によっては、多少臭い移りする場合があります。その際は、活性炭を含んだ浄水器を通すことで、においが気にならなくなります。

しかし、ペットボトルの飲用水は単価が高いため、大量備蓄には向きません。先ほどの例のように、4人家族1カ月分の最低限の水(2リットルのボトル300~360本)だけでも、21,000円~25,200円ほどかかります(1本当たり70円換算)。1年分なら3,600~4,320本にもなり、25~30万円に上ります。

井戸

持ち家があるなら、井戸があると大変便利です。飲料水としては適さない水質であっても、家庭菜園用に使ったり、浄水器を通して飲料水として用いたりすることもできます。大地震が起こると、まれに井戸の水質が変わったり、水が濁ったりすることが報告されているので、水質が変わっても飲めるように浄水器などを準備しておくとよいかもしれません。

東日本大震災後の、井戸の水質調査の報告はこちら

農林水産省から、地震による井戸の被害の情報はこちら

雨水の貯水

戸建ての住宅にお住まいであれば、雨水を貯水タンクに貯めておき、生活用水や、家庭菜園用に浄水器を通すことで飲料水や生活用水として用いることができます。雨どいに取水口を取り付け、パイプで貯水タンクにつなぐだけです。中には複数の貯水タンクを連結できるタイプのものもあり、大量の水を貯蔵することも可能になります。

連結可能の国産雨水タンク230リットル用(2個セット)

煮沸

水を煮沸することによって、病気の原因となるバクテリアやウイルスを死滅させることができます。水が濁っていれば、煮沸する前に布やコーヒーフィルターなどでろ過する必要があります。しかし、大量の燃料を必要とします。

薬品

水に塩素やヨウ素を入れることで、ウイルスやバクテリアを死滅させることができます。しかし、クリプトスポリジウム属の微生物(発熱や、下痢、その他の胃腸障害を引き起こす)には効かず、薬品の臭いや味が残ります。また、長期にわたって摂取すると、健康によくありません。

浄水器

性能がよい浄水器と、交換フィルターを備蓄しておくと、様々な水源の水を浄化して飲用水として使うことができるので、大変便利です。軽くてコンパクトな携帯浄水器は、大量の水を浄化できるため、水源さえあれば、緊急時の水の確保に重宝します。また、緊急時の持出し袋に入れておくと便利です。

しかし、浄水器の性能は宣伝されている内容に満たないケースが多いため、品質を確認できる浄水器を備えておくことが大切です

こちらのサイト(英文;米国)では、よく流通しているアウトドア用浄水器の検査結果を公表しています。この検査に用いられた水は、都市部の水路、自然保護区内の小川、牛の放牧地にある水溜まりから採取されたものです。その結果、市場に出回っている浄水器の多くは、有名なメーカーの製品も含めて、ウイルスを十分に除去しないことが分かりました。

しかも、検査は、わずか1リットルの汚染水を新品の浄水器でろ過するというものでした。新品でもウイルスを除去できない製品が数多く出回っていることが分かったのです。他のフィルターについても、浄水能力を維持したままどれだけの水をろ過できるのかは不明です。

浄水器の規格の現実

日本には、水道水を水源とした浄水器の規格はありますが、携帯浄水器や、井戸水を水源とした水道の浄水器の規格はありません。そのため、携帯浄水器の性能は、しっかりと確認する必要があります。

小さな浄水器でも何トンもの水量をろ過できると謳っている製品や、「除去率99.9999%」と謳う製品など、何の除去率なのかが明確でない場合は、実際にどのような検査を行ったのかメーカーに確認した方がよいと思われます。

浄水器の性能は、浄水時の水圧(水を押し出すタイプや、ストローなどで吸うタイプ)や、原水の汚染度、浄水する水量によって大きく変わってきます。検査方式が、実際の使用状況を反映しているかどうかも大切なポイントです。また、新品時の浄水性能が、実際どれだけの水量に対応できるのか検査している商品は、驚くほど少ないのが現実です。

米国では、EPA(米国環境保護庁)が浄水器の基準を定めていますが、企業の自主申告に頼っているため、第三者の検査機関で検査を受けていない製品も多数存在します。実際には基準を満たしていない製品さえ、たくさん流通しています。そのため、EPAの基準を満たしていると謳う輸入品も、検査方法や検査結果を調べた方が賢明です。

水質保証の新たな規格:エンド・オブ・ライフ検査(ライフサイクル終了試験)

このような状況を受けて、一部の浄水器製造メーカーでは、一般的な使用状況を反映した厳しい検査基準を自主的に設けたり、米国陸軍により採用されている小型浄水器の検査基準に基づいて検査したりするなどといった取り組みが見られるようになりました。しかし、そのように厳しい基準を満たしているメーカーは少ないようです。米国のAqua Veritas社は、浄水器の実際の使用状況を反映した検査基準として、「エンド・オブ・ライフ検査(ライフサイクル終了試験)」という、次の基準を提唱しています(Aqua Veritas社のサイト参照)。

  1. 試験所は、EPA登録の独立した水質試験所でなければならない。自社で試験を行うことはできない。
  2. 浄水器は、その製品が除去するとされるすべての汚染物質について、少なくとも25ガロン(約95リットル)ごとに、宣伝されている総水量に達するまで、検査されなければならない。

この基準は、浄水器の寿命に達するまで、企業が謳っている品質が担保されているのかどうか客観的に検査するものです。消費者なら誰もが知りたい情報ですよね。

水の確保は、備えにおいて非常に重要なので、SONAEでもライフサイクル終了試験に適合した、安全性と機能性に優れた浄水器を販売することにしました。関心のある方は、是非こちらのページをご覧ください。

まとめ

この記事では、水の備蓄の大切さと、その方法についてご紹介しました。

水の備蓄は場所を取るため、つい後回しになりがちですが、水は生命維持に欠かせません。

場所が問題であっても、よい水源があれば、高性能の浄水器を使うことで、手軽に水を確保することができます。

ご自分やご家庭の状況に合った水の備蓄や確保に、是非取り組んでください。

この記事の筆者の紹介

下川健一。滋賀県出身。米国ブリガム・ヤング大学卒(臨床心理学博士)。ノースウェスタン大学ファミリー・インスティテュート博士研究員、同大学心理学部大学院講師(カウンセリング心理学)を経て2012年に帰国。メンタルヘルス関連のコンサルテーションやカウンセリングを提供する組織の管理職を経て開業。また、世界情勢が急速に変わりゆく中、一人でも多くの人が今後の世界に備えられるようにできることはないか真剣に考えるようになり、書籍の翻訳・出版活動を通して物理的、精神的、霊的な観点から幅広く備えについての情報発信にも取り組むようになる。その一環として米国在住のメンタルヘルス・カウンセラーの友人が3度の臨死体験中に見た壮大な示現の記録『栄光の示現:一人の男性が見た末日に関する驚くべき示現』を翻訳し自費出版する。また、聖書の終末予言を理解する鍵と言われる旧約聖書のイザヤ書の解読に極めて重要な古代の文学手法を発見したアブラハム・ギレアディ博士によるイザヤ書の解説書を翻訳、出版、普及する活動に取り組んでいる。また、一家一年分の食料貯蔵と家庭菜園を実践し、家庭でできる食料の保存法について情報発信に取り組んでいるため、備えについての相談を受けることが多い。自給自足を視野に入れた長期の備えの大切さをベースに食料貯蔵と家庭菜園をベースにしたライフスタイルの魅力と重要性を発信していこうと、有志と一緒にSONAEを立ち上げることに。現在下川心理臨床カウンセリングオフィス代表、オリーブ出版代表、一般社団法人イザヤ研究所インターナショナル代表理事。長野県在住。

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