長期の食料備蓄:よくある5つの誤解と実践のコツ

長期の食料備蓄5つの誤解 食料備蓄

あなたには、こんな経験はありませんか?

  • 賞味期限が切れた備蓄食料を消費するのが大変…
  • 防災のために必要なのは分かっているけど、缶詰やレトルトはおいしくない…
  • 備蓄食料が古くなって、大量に捨てる羽目に…
  • 非常食は高いから、備蓄もなかなかできない…

もし一つでも当てはまるものがあれば、あなたは長期の食料備蓄について勘違いしているかもしれません。この記事では、食料備蓄についてよくある誤解と、おいしく、楽しく実践できるコツについてお伝えします。

食料備蓄についてよくある誤解

誤解その1:食料備蓄は非常時に食べるものを備蓄する?

食料備蓄は普段の食べ物

あなたは「備蓄食料は、非常時に食べるもの」と思っていませんか?

確かに日本では備蓄食料のことを「防災」と結びつけて「防災食」や「非常食」と呼ぶことが多いので、「災害時や非常時に食べるもの」、「非常時じゃなければ食べないもの」と捉えてしまいがちです。防災用に食料を備蓄しておくのは大切ですが、この捉え方は、次のように食料備蓄を難しくする原因になっているかもしれません。

  • 普段は食べないから、管理が面倒で負担に感じる。
  • 気付かないうちに賞味期限が過ぎてしまい、消費に困る。
  • 「防災食」は高価なので、量があまり買えない。
  • 食べ慣れない食品だと、何日も続けて食べたいとは思わない。

最近では、おいしい非常食も出回っています。でも、たとえおいしくても、普段から食べたいと思うものなければ、何日も続けて食べたいとは思わないかもしれません。しかも、高価だと賞味期限が切れるたびに買い替えるのは気が進まないかもしれません。

普段は缶詰を食べない人が「非常用に」缶詰を買っても、それは非常時に困らないようにするためで、べつに缶詰が食べたいから買うわけではありません。なので、賞味期限が切れたときに貯蔵を回転させようとしても、普段は食べない期限切れの食品を消費して、さらにまた買い足すのは負担に感じて当然ですよね。食品が古くなりすぎて処分することになれば、なおさらです。

食料備蓄は「非常時でも食べたいもの」を備蓄する

非常に食べたい食べ物

ところが、食料備蓄を非常時に食べるものではなく、非常時でも食べたいものと考えたらどうでしょうか?

非常時でも普段の食事ができるなら、備えておきたいと思いませんか?食べ慣れた食事を非常時でもできるようにするにはどうすればよいのだろうと考えると、食べたいという欲求だけでなく、備蓄したいという欲求も自然と湧き出てきますよね!非常時でも食べたいものを備蓄すると、貯蔵は負担に感じるどころか、とてもやる気が湧いてくるのではないでしょうか。

もちろん、生鮮食品や生ものは備蓄には向きません。生もの中心の食事をしている方は、普段の食生活に備蓄できる食品を積極的に取り入れることで、備蓄型の食生活に移行していけます。泣いても笑っても、有事の際には自分の手元にあるものしかないという現実から目をそらすわけにはいきません。野菜のように、非常時に食べたくても日持ちがしない食品は、乾燥野菜として保存できます。すると、非常時に野菜が食べられるので安心です。

誤解その2:備蓄食料はなるべく賞味期限が長いほうがよい?

小麦粉を食料備蓄

非常用に特化された食品は、賞味期限が長いことを売りにしています。確かに非常時のためだけに備蓄するなら、賞味期限が長い方が買い替えの頻度が少なくてラクですよね。

でも、普段から食べる食品を備蓄しておいて、消費した分だけ補充するなら、賞味期限はどれくらい必要なのでしょうか?

普段から順番に使えば、賞味期限は長くなくても大丈夫

賞味期限が5年の食品と、半年の食品を比べたら、5年の方がよいと思い込みがちです。ところが、普段から食べる食品なら、それほど長い賞味期限は必要ではありません。たとえ賞味期限が半年や1年の食品も、「半年か1年しか持たない」のではなく、「半年や1年も持つ」食品ということになります。

すると、特売のときに賞味期限半年の食品を半年分まとめて買っておけば、その食品については半年分の貯蔵が確保できます。1年やそれ以上持つ食品なら、1年分まとめ買いして1年間かけて食べ続けても、賞味期限が切れることはありません。しかも、賞味期限が切れていても、ほとんどの食品は安全でおいしく食べられます。

さらに、まとめ買いをして、食べた分だけ補充することを習慣にすれば、賞味期限の管理から解放されます!もともと日持ちがする玄米、小麦粉、パスタ、麺類、乾燥野菜や乾燥豆など、多くの乾物や缶詰は、さらに長期間貯蔵できます。

このように備蓄食料を順番に回転しながら貯蔵する方法は、よくローリングストック法と呼ばれています。この方法は、非常食の貯蔵方法として紹介されることが多いですが、普段使う食品も回転させて備蓄しながら消費すれば、「非常食用」に特化した余計なコストがかかりません。特売のときにまとめ買いしておけば、お財布にもやさしくなります。

乾燥食品は無酸素パック保存で何年も賞味期限が延ばせる

乾燥野菜のように、普段はあまり使わず、非常時用に備蓄したい乾燥食品は、アルミフィルムの保存用袋に入れて無酸素状態でパウチすれば、何年も保存できます。近年のアメリカの研究によると、乾燥野菜や小麦、乾燥マッシュポテト、乾燥豆などは、無酸素状態で適切な温度で保存すれば30年も持つことが分かってきました。

しかも家庭で乾燥食品を作ったり、アルミパウチしたりすることは簡単にできます。詳しくは、当サイトでもご紹介しています。

乾燥野菜の作り方

アルミパウチの仕方

お米など鮮度を大切にしたい食品は、30キロの紙袋ごと1、2年鮮度を保ったまま保存できる無酸素パックを使えば、家庭内で1、2年分のお米を常備することができます。(実際にはさらに長期間も保存可能です。)保存袋は10キロや5キロ用もあります。お米の保存方法については、こちらのページで詳しくご紹介しています。

誤解その3:食料備蓄は最低限必要な食べ物を備蓄する?

食料貯蔵にグラノーラ

時折「最低限必要な食料を備蓄している」という声を聞きます。主食と味噌など、いくつかの食品だけはストックしてあるという方もいらっしゃるようです。「非常時なら、最低限のものさえあれば何とかなる」というお考えのようです。

ところが裏を返すと、最低限の備蓄をしているというのは、「非常時には最低限の食料しかない」ということを意味します。毎日お米と味噌だけの生活……。それが好きであればよいかもしれません。しかし、栄養バランスや心理的な負担はどうでしょうか?育ち盛りの子供たちにとっては、どうでしょうか?

何でも備蓄すれば、おいしく健康的な食事ができる

非常時だからこそ、元気をつけるためにバランスが整ったおいしい食事をしたいですよね。それを可能にできるように、普段から使い慣れていて備蓄可能な食材や調味料は、何でも備蓄しておくと便利で安心です。すると、あなたのニーズと好みに合ったお店が家の中にあるみたいで、急に何かがなくなって困ることはなくなります。また、いつもさまざまなバリエーションのある食事を楽しむことができます。たとえ突然非常時に見舞われてもです。

誤解その4:備蓄食料を使った食事はおいしくない?

大豆は長期保存向き

備蓄食料がおいしいかおいしくないかは、何を貯蔵しておいて、どのように調理するのかにかかっています。食べ慣れない非常食を備蓄していたら、おいしくないかもしれません。ところが、普段から備蓄食品を取り入れておいしい食事を作ることを習慣にしていれば、いざというときも、おいしい食事ができるのです。

当サイトでおすすめしているのは、乾燥豆を使った料理です。近年では乾燥豆を食べる人は減ってきているようですが、豆は肉や魚の代わりとなる良質のたんぱく源で、しかも食物繊維や良質の炭水化物、ミネラルも豊富なスーパーフードです。まざまな料理やお菓子に使えて、何年も保存できるのでとても便利です。しかも、重さ当たりの単価は、肉や魚よりも断然お得!豆を使った料理の魅力を知ると、食料備蓄を中心にした食生活の可能性は、大きく広がります。

【併せて読みたい記事:「乾燥豆を備蓄するメリット」】

誤解その5:食料備蓄はお金がかかる?

玄米の備蓄

これは、食料備蓄について最も誤解されていることの一つです。

高価な非常食をたくさん買い込むのであれば、お金がかかるかもしれません。ところが、すでにご紹介したように、普段の食生活で備蓄品を順番に使って回転させれば、食料備蓄は前もってまとめ買いして、使う分だけ買い足すだけなので、逆に単価が安くなり、経済的なのです。

まとめ:食料備蓄はおいしく、経済的、健康的に実践できる

いかがでしたか?

この記事では、食料備蓄についてよくある5つの誤解について考えてみました。誤解が解けると、食料備蓄は、日常の食事に近く、おいしく、健康的で、経済的になることもご紹介しました。

食料備蓄に対するやる気や魅力を感じられたら、是非あなたに合った食料備蓄を楽しんで実践してみませんか。

特に、今は世界中で人工的に食料危機やエネルギー危機が引き起こされているので、備蓄食料は必ず必要になることでしょう。物価が上がってきていますが、今すぐ取り組むことをお勧めします。物価が下がることは期待できないからです。

きっとあなたに合った備え方ができますよ。

この記事の筆者の紹介

下川健一。滋賀県出身。米国ブリガム・ヤング大学卒(臨床心理学博士)。ノースウェスタン大学ファミリー・インスティテュート博士研究員、同大学心理学部大学院講師(カウンセリング心理学)を経て2012年に帰国。メンタルヘルス関連のコンサルテーションやカウンセリングを提供する組織の管理職を経て開業。また、世界情勢が急速に変わりゆく中、一人でも多くの人が今後の世界に備えられるようにできることはないか真剣に考えるようになり、書籍の翻訳・出版活動を通して物理的、精神的、霊的な観点から幅広く備えについての情報発信にも取り組むようになる。その一環として米国在住のメンタルヘルス・カウンセラーの友人が3度の臨死体験中に見た壮大な示現の記録『栄光の示現:一人の男性が見た末日に関する驚くべき示現』を翻訳し自費出版する。また、聖書の終末予言を理解する鍵と言われる旧約聖書のイザヤ書の解読に極めて重要な古代の文学手法を発見したアブラハム・ギレアディ博士によるイザヤ書の解説書を翻訳、出版、普及する活動に取り組んでいる。また、一家一年分の食料貯蔵と家庭菜園を実践し、家庭でできる食料の保存法について情報発信に取り組んでいるため、備えについての相談を受けることが多い。自給自足を視野に入れた長期の備えの大切さをベースに食料貯蔵と家庭菜園をベースにしたライフスタイルの魅力と重要性を発信していこうと、有志と一緒にSONAEを立ち上げることに。現在下川心理臨床カウンセリングオフィス代表、オリーブ出版代表、一般社団法人イザヤ研究所インターナショナル代表理事。長野県在住。

コメント

タイトルとURLをコピーしました