乾燥豆を備蓄するメリット

乾燥豆を備蓄するメリット 食料備蓄

なぜ乾燥豆を貯蔵した方がよいのでしょうか?

乾燥豆は、食料備蓄だけでなく、日常の食材としてもとても魅力的な食べ物です。今回は、なぜ乾燥豆を備蓄した方がよいのか、その魅力についてご紹介します。

肉や魚に比べて、はるかに安い!

豆、魚、肉

一番安い肉、鶏の胸肉でも100グラムあたり安くても38~48円くらいです。もも肉でも安くて88円くらい、牛肉、豚肉はさらに高いです。ところが、乾燥豆は10キロや20キロでまとめ買いすると100グラム当たり30円以下から50円くらいです。しかも、100グラムの乾燥豆は水煮にすると重量が220~260グラムになり、かさが増えて、100グラムの肉よりもはるかに食べ応えがあります。

栄養のバランスがよい

豆はスーパーフード

豆はスーパーフードと呼ばれるほど、栄養が豊富です。

  • 高たんぱく。100グラム当たりで比較すると、乾燥豆は魚や肉と変わらない量のたんぱく質を含みます。乾燥大豆は100グラム当たり33グラム以上もたんぱく質を含みます。
  • 腹持ちがよい。豆にはGI値が低く、ゆっくり消化される炭水化物が豊富に含まれています。血糖値が上がりにくく、腹持ちもよいで、長時間にわたって体にエネルギーを供給することができます。
  • 繊維質が豊富。乾燥豆100グラム当たり、16~20グラムの食物繊維を含んでいます。乾燥豆はゆでると一部のでんぷんが難消化性でんぷんになるため、食物繊維が実質増えることになります。そのため、水煮にしても100グラム当たり、10グラム前後の食物繊維を含みます。非常時には、野菜不足によって食物繊維が不足しますが、豆は手軽に繊維質をしっかり摂ることができます。
  • ビタミンやミネラルが豊富。赤血球の生産を助け、DNAやRNAの合成を促進する葉酸を含むビタミンB1郡やその他のビタミンや、カルシウム、マグネシウム、鉄、カリウム、亜鉛などのミネラルも豊富に含みます。葉酸は胎児の成長にもとても大切な栄養素なので、妊婦さんにもお勧めです。小豆やレッドキドニービーンズなど、色が濃い豆は、抗酸化物質であるポリフェノールを豊富に含みます。
  • 米や小麦と相性がよい。米や小麦に含まれるたんぱく質は、必須アミノ酸の一つであるリシン(リジン)が少ないため、体に十分に吸収されませんが、大豆にはリシンが豊富に含まれるので、米や小麦のたんぱく質が吸収されやすくなります。一方で、大豆にはメチオニンというアミノ酸が少ないですが、米は大豆に不足しているメチオニンを多く含んでいます。豆と米、小麦は、一緒に食べることで、栄養を補い合うことができ、体に吸収されやすくなります。
  • 発芽させて野菜として食べれる。豆は、野菜不足の時に発芽させて栄養価を増したり、豆苗として食したりすることもできます。

料理のバリエーションが豊富!

豆料理

豆には、和食、洋食、エスニックなどたくさんの料理方法があります。

豆は、日本食ですと、煮豆や甘煮、納豆や豆腐、餡子などを連想する方が多いですが、世界には、様々なスープ、カレー、サラダ、揚げ物、ケーキやブラウニーなどのお菓子類など、手軽で美味しく、栄養のバランスがよい食べ方がたくさんあります。

また、豆そのものだけでなく、豆の煮汁にはビタミンやミネラル、アミノ酸が溶け出しているので、だし汁としてスープなどに使うこともできますし、卵を使わないパンケーキやケーキ類、パン類などにも使うことができます。

さまざまなバリエーションの豆料理を取り入れることで、食卓がおいしく、健康的で、豊かになります。

保存ができるから安心

  • 長期保存に最適。乾燥豆の賞味期限は約2年ほどですが、ガスバリヤ袋に脱酸素剤や乾燥材を入れて保存すれば、何十年も保存することができることが、これまでの研究で分かっているそうです。また、湿気が少ないところであれば、保存に適した紙袋で長期の保存も可能です。
  • 豆の水煮のストックが便利。冷蔵庫に豆の水煮は、一度にたくさん作って冷蔵庫や冷凍庫にストックできるので便利です。1週間分の豆の水煮を一度に作れば、1週間にわたりさまざまな料理に使うこともできます。冷凍する場合は、ジップロックなどの冷凍用の袋に入れて保存すると使いやすいです。普段から豆を食事に使うことで、病気にかかることが少なかった日本本来の健康的なライフスタイルに寄与することができます。

調理が簡単!

基本的な豆の調理の仕方(公益財団法人日本豆類協会)

こちらのページで基本的な水煮の作り方を紹介しています。

※レンズ豆の水煮を作る場合は、水洗いしたら、豆の4倍くらいの水と一緒に蓋つき鍋に入れ、蓋をして火にかけます。沸騰したら、弱火で25~30分くらい炊くと出来上がりです。固めの食感がよい場合は、調理時間を短くします。

圧力鍋

圧力鍋を使うと短時間で調理できる

乾燥豆は、圧力鍋を使うことで、料理の時間が短縮できるだけでなく、豆をふっくら柔らかく煮ることができます。ブラックビーンズや小豆など、小ぶりの豆は、予め水に漬けておかなくても、水洗いしてすぐに圧力鍋で調理することもできます。レンズ豆のように、特に小さい豆は、予め水に漬けておく必要もありません。加熱時間が短いことで、燃料の節約になりますし、料理の時間も短縮できるので、とてもお勧めです。

古くなった乾燥豆をやわらかく調理する方法

古くて固くなった乾燥豆も、重曹水につけておくと、やわらかく炊き上げられます。重曹のアルカリ成分により、古い豆の皮に含まれるペクチンなど豆の細胞壁が分解されやすくなり、豆がやわらかく、なめらかな舌触りになるのです。

以下に、古い乾燥豆の調理方法をご紹介します。

【その1】豆を一晩重曹水につける方法:圧力鍋編
(1)乾燥豆を水でよく洗います。(2)豆と豆の分量約3倍の水をボウルに入れ、豆1カップ当り小さじ1/3強の重曹を加えて、6~8時間つけておきます(小豆の場合は一昼夜水に漬けておきます)。(3)豆がよく水を含み、皮にしわがなくふっくら膨らんだら、重曹水を捨てて、水洗いします。(4)豆を圧力鍋に入れ、豆が全部浸るぐらいの水を入れフタをし、圧力が入るまで強火にかけます。圧力が入った後は弱火で煮ます(調理時間は豆の種類によります。古くない豆よりも若干長めに)。(6)火を止めて自然に冷めて圧が抜けるまで放置したらできあがりです。

【その2】1~2時間で豆を戻す方法:圧力鍋編
(1)乾燥豆を水でよく洗います。(2)鍋に豆の量の約3倍の水を入れて沸騰させます。(4)沸騰したら乾燥豆を入れ、強火で1~2分茹でます。(5)火を止め、豆1カップ当り小さじ1/3強の重曹を加えて1~2時間放置します。豆がよく水分を含み、皮にしわがなくふっくら膨らんだら、豆を水洗いします。(6)豆を圧力鍋に入れ、豆が全部浸るぐらいの水を入れフタをし、圧力が入るまで強火にかけます。圧力が入った後は弱火で煮ます(調理時間は豆の種類によります。古くない豆よりも若干長めに)。(7)自然に冷めて圧が抜けたら、煮汁を捨てて出来上がりです。

【その3】圧力鍋を使わない方法
上記の通り、重曹水か熱湯の重曹水で戻した豆を水洗いし、蓋つきの鍋に入れ、豆よりも1センチほど多めの水を入れ、蓋をして強火にかけます。沸騰したら弱火で約1~2時間煮ます(加熱時間は豆の種類によります。小さな豆は火が通るのが早めです)。水が減って豆が水面から出てしまうようであれば、水を足します。好みの固さになれば煮汁を捨てて出来上がりです。
※水の量を調整することで、豆の煮汁の濃さを調整できます。

重曹はキロ単位で購入すると備蓄にもなり、非常にお得です!

わが家では、パール金属の5.5リットル入りの圧力鍋を使っています。大きめですが、豆類は吹きこぼれ防止のため、鍋の1/3量までしか調理することができないので、使い勝手がよい大きさです(安全のため、豆の調理量は守りましょう)。備えの観点からすると、多めに作ってストックしておいたほうが水煮を頻繁に作る手間が省けるので、大きめのサイズがお薦めです。

三層タイプもあります。

小さめのサイズもあります。

余談ですが、5.5リットルの圧力鍋だと、お米が1升分炊けます。我が家では発芽玄米を1升炊いて、小分けしてラップに包んで冷凍しています。そうすることで、お米を炊く回数が減りますし、冷凍しておいたお米は新鮮なまま保存できるので、温めると炊き立てご飯が食べられます。また、圧力鍋で炊くと、古いお米でもまるで新米のようにもっちもちに炊きあがるのでおすすめです。

ポット、魔法瓶、保温調理器で調理

豆は沸騰していなくても、80度以上の熱湯でゆで上げることができるため、ポットや、魔法瓶、保温調理器に洗った乾燥豆を入れ、熱湯を注いで保温しておくことで豆の水煮を作ることができます。このとき、予め水につけておくことはせず、乾燥豆のまま入れます。容器内の温度が下がってしまうためです。また、ポットの保温力にもよりますが、豆の量が多くなるとポット全体の温度が下がってしまうため、失敗なく作るには、熱湯の10分の1以下の量の豆を煮るとよいようです。

まとめ

今回は、なぜ乾燥豆を貯蔵した方がよいのか?をテーマに、乾燥豆の魅力についてご紹介しました。

肉や魚は、店で買える間はおいしくて便利ですが、長期の保存には向いていません。もちろん缶詰やレトルトの肉や魚もありますが、料理のバリエーションは限られてきますし、すでに味付けしてある商品だと、食べ飽きてしまいがちです。

しかし、乾燥豆は安価で、栄養のバランスがよく、料理のバリエーションも限りなく豊富で、しかも長期保存ができます。乾燥豆を取り入れることで、手軽に、安価で、おいしく、健康的に、食料貯蔵をベースにしたライフスタイルを楽しむことができます。乾燥豆を取り入れることで、食卓にも、日ごろの備えにも新たな世界が広がります。

この記事の筆者の紹介

下川健一。滋賀県出身。米国ブリガム・ヤング大学卒(臨床心理学博士)。ノースウェスタン大学ファミリー・インスティテュート博士研究員、同大学心理学部大学院講師(カウンセリング心理学)を経て2012年に帰国。メンタルヘルス関連のコンサルテーションやカウンセリングを提供する組織の管理職を経て開業。また、世界情勢が急速に変わりゆく中、一人でも多くの人が今後の世界に備えられるようにできることはないか真剣に考えるようになり、書籍の翻訳・出版活動を通して物理的、精神的、霊的な観点から幅広く備えについての情報発信にも取り組むようになる。その一環として米国在住のメンタルヘルス・カウンセラーの友人が3度の臨死体験中に見た壮大な示現の記録『栄光の示現:一人の男性が見た末日に関する驚くべき示現』を翻訳し自費出版する。また、聖書の終末予言を理解する鍵と言われる旧約聖書のイザヤ書の解読に極めて重要な古代の文学手法を発見したアブラハム・ギレアディ博士によるイザヤ書の解説書を翻訳、出版、普及する活動に取り組んでいる。また、一家一年分の食料貯蔵と家庭菜園を実践し、家庭でできる食料の保存法について情報発信に取り組んでいるため、備えについての相談を受けることが多い。自給自足を視野に入れた長期の備えの大切さをベースに食料貯蔵と家庭菜園をベースにしたライフスタイルの魅力と重要性を発信していこうと、有志と一緒にSONAEを立ち上げることに。現在下川心理臨床カウンセリングオフィス代表、オリーブ出版代表、一般社団法人イザヤ研究所インターナショナル代表理事。長野県在住。

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